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【2017年4月】あれから1年、そしてあれから6年


あれから1年、そしてあれから6年

 

2017年4月 くまもと心療病院 理事長・院長 荒木 邦生

 

 inchou_2016701あれから1年、最近目立つのは傾いたままになっていた建物が解体されて更地になっている姿である。そこは1年間解体もできずに再スタートできなかった場所なのであろう。やっと更地というゼロになったことからすれば、1年でやっと出発点に立ったところなのかもしれない。


 しかし熊本城のように更地にできないものがある。お城は残ったところを温存しながら壊れたところを旧来からの技法で創り上げるというやり方である。気が遠くなるような作業である。つまり簡単にゼロにできないものの復興には、大変な時間とエネルギーを要する。


 ところが最近テレビで東日本大震災から6年という特集を見ていたら、まったくゼロにできず、温存工事もできない被害があることを改めて思い知った。高濃度の放射能に曝された場所は、100年単位でゼロにできないマイナスを負ったままである。そしてそこで暮らしていた人々の心の中の大きなマイナスは永遠に消えない。故郷に帰りたくても帰れないし、思い切って帰っても、若者は居ないし病院もなく永遠に元に戻らない。


 復興と言ってもその地域、その家、その人によりさまざまである。本当にその個人が求めていることが叶った時が復興とするなら、すべての人に真の復興は無いということになる。

院外広報誌「りぶれ」Vol.50 春号 より