【2023年4月】2023年4月
2023年4月
2023年4月 くまもと心療病院 理事長・院長 荒木 邦生
雨が降って桜の花も大分落ちた。アレルギー体質もあってこの季節はあまり好きではないが、寒暖差に身体がついていけないのか調子も崩しがちである。
今月末で病院の新築移転から約2年が経過する。それ以前からではあるが新型コロナ感染症で苦労した2年間であった。コロナはまだ終わっていないが、患者さんや家族、職員に大変な苦労をかけた。院内クラスターを何度も経験し、感染力が強いため対応がどうしても後手に回るもどかしさがあった。職員が感染すると人手不足に陥り、それでも容赦なく感染は広がるため肉体的にも精神的にも追い込まれた。同時に家庭内でも感染がおこると公私ともに窮地に追い込まれる。とにかく防戦一辺倒になった。
ダメージは計り知れないものがあったが、最近気になっているのはコロナの後遺症である。感染がやっと落ち着いた現在でも何となく疲れが残っている。ただ気になっているのは後遺症と言っても個人の症状ではなく、病院全体のものである。補助金体質からどう離脱するかという問題もあるが、大きいのは我々に防御の姿勢が定着していることである。
苦労したこと、苦しかったことの記憶がまだ鮮明にあるため、なかなか積極姿勢に転じられない。もし新型コロナ感染症がこのまま収束したとしても、我々の医業活動が本当に元に戻るのはまだまだ先になるのかも知れない。
院外広報誌「りふれ」Vol.74
春号 より