【2025年10月】2025年 秋
2025年 秋
2025年10月 くまもと心療病院 理事長・院長 荒木 邦生
まだ日中の気温が30度になる暖かい秋である。今年はさんまが豊漁で何度か食卓に上がり美味しくいただいた。昨年は全く獲れずに温暖化が原因と言われていたが、今年は当たり年で気候変動の影響も単純ではない。
高市早苗さんが自民党総裁に選ばれた。保守的なイメージがあり近隣諸国との関係を心配する人も多い。信念が硬く強い人は妥協を好まないと考えられるが、私は政治とは妥協の産物だと思っている。時には信念を曲げて状況に応じた柔軟な姿勢が求められるし、そうしなければ衝突ばかりして前に進まない。よほど力があれば突っ走ることも可能かも知れないが、今はそういう政治家が生れる環境ではないと思う。高市さんには信念を曲げなくても良いが、一旦は腹の中に納めて周囲をコントロールしながら、じわじわと自分らしさを出せるしたたかさを身に着けてほしいと思っている。
秋は我々世代の人間にとって運動会の季節、お昼のおにぎりと酸っぱい早生ミカンを食べた思い出が強い。当院の運動会は数年前に終了し、夏祭りも今年から止めることにした。夏祭りは何十年と続いた当院の伝統だったが、夏の猛暑と職員数の減少で出来なくなった。それで今年から夏祭りと文化祭を合わせた「くまもと心療病院祭」をすることになり、今年は11月15日に開催することになった。当院の理念である地域交流と、病院の伝統を何とか守りたいという私の思いを職員が汲んでくれたと思う。職員への負担はあるとは思うが、当分は続けたいと思っている。
当院は9月1日から病床を10床減らして272床となった。令和6年度の病床数適正化支援事業により、眠らせていた10床を国に買い取ってもらった。今後は精神科の地域医療構想も具体化し、おそらく病床はますます減少し病院の形も変わってゆくと思われる。このような時代に病院をリードすることは決して楽しいものではないが、逃げることは出来ないし、皆さんと力を合わせて乗り切るしかないと思っている。
院外広報誌「りふれ」Vol.84
秋号 より







