院長コラム
変化する世界情勢と医療
2026年1月 くまもと心療病院 理事長・院長 荒木 邦生
今回の年末年始は私の当直が無く、家でのんびり孫娘たちと過ごすことができた。お陰で私はリフレッシュすることができたが、年末年始に業務についていた医師や職員の方々には心から感謝している。病床を有する我々の仕事は、常に誰かが働いていないと成り立たないのだが、人手不足のなか、シフトで交代勤務をすることは、決して楽ではないと思う。なんとか今年は人手不足問題を改善したいものである。
正月早々アメリカがベネズエラを攻撃して、大統領夫妻を拘束したというニュースが飛び込んできた。ベネズエラが問題の多い国であったことは事実かもしれないが、自国にメリットが大きいからと言って、主権国家に対しあんなことをして良いはずがない。そして傲慢な国アメリカに対して、何も言えない日本が悲しい。ただ冷静に考えれば、国家としては言わないほうが正しいのかもしれない。高市総理の国会での発言で、いま中国との関係が悪化しているのも事実。さまざまの利害が絡む国家関係は実に難しい。しかし中国は実にしたたかでしつこくて手強い国である。日本も柔軟かつしたたかに対応すべきだと思う。
医療においては来年度の診療報酬改定で、物価高騰と人件費上昇分が上がることが決まっている。しかし喜んでばかりはいられない。少子高齢化のなか社会保障費の高騰が国の財政を圧迫していることも事実であり、医療に対して大きな変革を要求される気がする。その変化についてゆけない医療機関は、今後脱落する可能性がある。精神科医療においては大幅なベッド数削減が要求され、地域包括ケアの中で高齢者と精神障害者を診る方向になるだろう。ただし本当にきちんとやれば、よりお金がかかる。コストを抑えるためにサービスの質を低下させれば、社会不安を生じかねない。まだ見えない部分が多くて予測が立たないが、我々は変化を要求されても、柔軟かつしたたかに対応できる心構えだけは持っておきたい。
院外広報誌「りふれ」Vol.85
秋号 より




