【2023年10月】2023年 秋
2023年 秋
2023年10月 くまもと心療病院 理事長・院長 荒木 邦生
10月12日から2日間、日本精神科医学会・学術大会が熊本城ホールで開催されたため、実行委員長の責務もあり、秋を楽しむ状況ではなかった。新型コロナやインフルエンザが流行するなかではあったが、幸いにして大会は無事に開催され、多くの方々に参加していただいた。当院からも20人以上の職員が参加し、3名の演者が発表した。私は1年前から準備した大会が無事に終了したことで、今はほっとしている。
その中で、私個人としては現大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室教授(前熊本大学医学部神経精神科教授)の池田学先生の特別講演、学生時代からの友人で現 DMAT 事務局長の小井土雄一先生の特別招待講演の座長を務めたことは印象的だった。また私が所属する日精協の医療安全委員会が担当した身体拘束の記録に関するシンポジウムと、私が座長をした聖マリアンナ医科大学の小茶大樹教授の教育講演も大変意義深かった。参加していただいた方々、大会運営をサポートしてくれた方々に心から感謝申し上げたい。
秋を楽しむのはこれからと思っていたが、相変わらず病院でも様々の出来事が起こるし、世界に目を向けるとパレスチナのハマスとイスラエルの戦争状態が悪化した。ウクライナとロシアも続いているし、日本の近くでは中国の台湾海峡問題、北朝鮮のミサイル発射など、一歩間違えば日本に多大な影響を及ぼす紛争が起こりかねない。今になって思えば、アメリカとソ連の冷戦時代の方がよっぽど落ち着いていた。世界で強力なリーダーだった国が力を落としたことで、全世界が不安定になっている。
気候変動も深刻な問題だ。いつどのような自然災害が迫っているかわからない。小井土先生の話でも、これからは大規模自然災害の時代、人的被害をいかに減らせるかが重要とのこと。今年の冬は暖冬と聞いている。寒がりの私は少しホッとする面もあるが、冬は正しく寒い方が良い、と今は考えている。
院外広報誌「りふれ」Vol.76
秋号 より