くまもと心療病院

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【2022年10月】


2022年10月

 

2022年10月 くまもと心療病院 理事長・院長 荒木 邦生

 

 9月の台風14号はその勢力とコースから大変心配したが、熊本は大きな被害がなくほっとした。しかしいつかまた大きな災害に襲われるかもしれないという不安は常にある。年々自然環境は厳しくなり災害は大きくなっている。地球温暖化問題は全世界で取り組まなければ意味をなさないが、そうはならない。ロシアのウクライナ侵攻でエネルギー問題も原発回帰など振り出しに戻る心配もある。やはり人も国も個々の思惑や利害で動いている。

 

 7月末から8月末にかけて当院のある病棟で大規模クラスターが発生し、大変な苦労をかけた。その時多くの職員も感染したが、クラスター発生病棟の職員が、他の病棟の職員から傷つくような言葉をかけられたりしたことがあったようだ。

 

 新型コロナウイルス感染症は、すでに誰しもがいつでも感染する可能性があるものであり、いつ自分が感染してもおかしくないのに、感染した方やその病棟までまるで迷惑しているかのようなことを言うのは、自分の不安を弱い立場の人に押し付ける、相手の気持ちを全く解しない身勝手な行動であり悲しい。

 

 ましてや我々のように障害者や弱者を支援する立場の人間が、そのような態度をとって良いはずがない。仲間が感染したことを思いやらずに非難したりすることは、チーム内の不調和を生み組織全体が機能不全に陥る可能性もあり、実に残念である。

 

 我々は医療サービスを提供するサービス業で生活している。亡き父はよく「プロのサービス」という言葉を口にして、ポスターを院内各所に貼っていた。父が亡くなった後、その言葉が押しつけがましく思えてポスターをとった。しかし今になって私が毎朝院内を回っていると、その言葉を理解できていないと思われる職員を見かけることがある。少ないスタッフで多忙を極めていること、自分の行為を相手(患者)が理解できないことが多い仕事であること、各々の職員が様々な背景を抱えながら苦労して仕事をしていることなどは、私なりに理解しているつもりだが、「プロのサービス」をまた意識する時期が来たのかもしれない。

 

院外広報誌「りふれ」Vol.72

 秋号 より

 


 

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